家族や友達を感激させるクロスオーバーの科学

クロスオーバー/フィルターの設計
クロスオーバーの設計は、ラウドスピーカーのパフォーマンスにはとりわけ重要です。しかし、依然として多くのスピーカーメーカーでは価格や特性の狭いガイドラインに沿ってクロスオーバーを設計しているため、ユーザーはいい加減なクロスオーバーの設計を補正するためイコライジングに取り組むことになるのです。

EAWがドライバーとユニットのチューニングを行うとき、オペレーターがスピーカーのサウンドをすばらしいものにしてくれるなどとEAWは期待していませんでした。EAWのスピーカーはエンクロージャーそのままの状態で優れたサウンドを生み出すよう考えて作られているのです。そのためにEAWでは手間のかかる、しかし優れたプロセスを採用しています。複雑で非対称カーブを持ち、トータルシステムでの特性を最適なものにするパッシブクロスオーバーネットワークを開発するための反復プロセスです。

このプロセスは一連の作業をくり返すものですが、新しいサイクルは以前のサイクルの結果からスタートします。サイクルごとに結果が「理想的な」あるいは「模範的な」ものに近づいていきます。EAWのスピーカーシステムにとって理想的な結果とは、軸上の特性が完全にフラットであること、そして出力特性が完全にリニアであることです。出力特性というパラメーターはなめらかな軸外特性を確実にするものです。

この反復プロセスは専用の研究用測定システムを使って各ユニットの音響的、電気的特性を測定するところから始まります。このデータをEAWが特許を持つソフトウェアプログラム「フィルターデザイナー」に送ります。そこから得たデータをもとにEAWのエンジニアがクロスオーバーネットワークのプロトタイプを製作します。スピーカーシステムが再度測定され、新しいデータがフィルターデザイナーに戻されます。トータルシステムで最高の特性が得られるまでネットワークの改良がくり返されるのです。

非対称クロスオーバー・スロープの重要性
クロスオーバー帯域を通して特定のユニットが持つ特徴に正確に適合させられるのは、非対称クロスオーバー・スロープだけです。残念なことにフィルター・ネットワークを設計するとき数学的に要約したカットオフを採用しているメーカーもあります。

出力特性を最適なものにするには、非対称スロープを使って、コンポーネントやエンクロージャー自身が持つ実際の特性にシステムに合わせたクロスオーバーネットワークを設計しなければならないのです。

3ウェイシステムではユニット自体の特性をうまく合算することはできません。「数学的に正しい」クロスオーバー・スロープでいくぶん良くはなりますが、最適な状態で合算することができるのは複雑な非対称スロープだけなのです。