90年代の半ばまでは、手ごろな価格のプロフェッショナル用スタジオモニターというものは存在しませんでした。自宅やプロジェクト・スタジオでレコーディングする人が増え始めていましたが、優れたサウンドのスタジオモニターを入手するには、相変わらず膨大な費用が必要でした。そこで、自宅、またはプロジェクトスタジオでレコーディングを行う人々は、Hi-fiスピーカーを使用する手段に出ました。また、コンシューマー向けのスピーカーや近くの電気店で集めたパーツで、自分用のスピーカーを作る人もいました。しかし、結果は思わしくありませんでした。Mackieは、優れたサウンドは予算的にとても潤っているスタジオにしか与えられない、という状況は不公平だと感じていました。
そこでMackieは、プレイバックの環境を平等にする時期だと決断しました。そして、Mackieのオーディオの巨匠達が作業を開始し、彼らの貴重な専門知識を総動員して、遂に、優れたサウンドを一般の人々にも手の届く価格で提供できるモニターをデザインしました。連日深夜まで続く作業を行った結果、HR824アクティブ・スタジオ・リファレンスモニターが誕生したのです。この素晴らしいアクティブ構造とパッシブ・ラジエーター設計により、HR824モニターは、スタジオのベテランやアマチュアのミュージシャンなどを唸らすパフォーマンスを実現しました。しかも価格は彼らの予算内に留めることができたのです。ほどなく、HR824シリーズは、世界中のプロフェッショナルのコントロールルーム、プロジェクト・スタジオ、ベッドルーム・スタジオのスピーカースタンドの上に置かれることになりました。HR824の成功に続き、Mackieは世界中で好評だったオリジナルのコンパクトなバージョンとして、HR624を開発しました。「兄貴分」のHR824と同様に、HR624も広く忠実な支持を得て、様々なスタジオで使用されるようになりました。その完璧なサウンド、うらやましいまでの評判と手ごろさで、MackieのHRシリーズは、人々がスタジオモニターに期待する概念自体を変え、他のメーカーの設計部門に挑戦されるまでになりました。つまり、HRシリーズは、新しい業界のスタンダードとなったのです。
1996年のオリジナルのHRシリーズのリリースから、オーディオレコーディング、そしてスタジオ環境は、飛躍的に変化しました。デジタルオーディオによって、より深いビット幅とより高いサンプリングレートが取り扱われ、今までよりも正確なレコーディングが可能になりました。また、マイクからDAWまで、信号の連鎖のすべての段階におけるレコーディング技術も同様に進化し、大量の正確にキャプチャーされたトラックと大量のプロセッシングを含むミックスが可能になりました。これらの変化によって、スタジオモニター、そしてスタジオモニターに期待されるもの、への新しい挑戦が始まりました。
今日のスタジオは、レコーディングされた内容をより正確にを再生するモニターを必要としています。Mackieの草分け的な製品であるHRシリーズを生み出したのと同じイノベーションのマインドが、このモニターシリーズ、そして新しいスタジオ・スタンダードを生み出しました。その製品がHRmk2シリーズです。