VCAとは Voltage Controlled Amplifierの略語で電圧制御に応じてゲイン、ボリュームを変化させる増幅器(アンプ)です。音響調整卓(ミキサー)におけるVCAの役割は音声信号のルーティングとチャンネルストリップに採用されます。
VCAの主な目的としてはVCAグループを組んだチャンネルの音量バランスやミックスバランスを保ちながらVCAグループを組んだ全体の音量を一括で操作することです。VCAはEQやコンプなどの音質の変化を伴った信号処理は行わず、全体的な音量調整だけのために使われます。 VCAグループの音量は、チャンネルの音量だけでなく、ポスト・フェーダー・ミックスに送られるすべての音量にも影響します。(下記写真は844 VCA:www.modulargrid.netからの引用)
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Mackie iPadと共に使用可能なデジタルミキサー、DLシリーズミキサーでもVCAという機能は実装されていますが、デジタルミキサーの場合、物理的な電圧操作を行うのではなく、デジタル処理で音量を一括してコントロールしています。デジタルミキサーでもVCAという用語が採用されるのはアナログミキサーで採用されてきた用語をそのまま引き継いでいるからです。
VCAグループはサブグループとよく似た機能ですが、メインミックスへ送る信号の途中でVCAグループを組むことによりメインフェーダー同じような役割を果たします。サブグループとの主な違いは、サブグループにはEQやコンプなどのDSP処理がありますが、VCAグループには音量コントロールのみであるということです。
Mackie DLシリーズミキサーにおいて入力チャンネルストリップとVCAチャンネルストリップの違いは以下のとおりです。
音源が選択されていない
VCAにはデジタルトリムが無いため、VCAチャンネルストリップのルーティングビューには表示されません。しかしながらVCAにアサインするチャンネルを割り当てて表示することと、VCAグループを組んだものをビューグループにアサインさせることは可能です。
EQがない
VCAチャンネルにはEQが無いので、EQボタンは表示されません。
ダイナミクスがない
VCAチャンネルにはコンプレッサーやゲートがないため、ダイナミクスボタンはありません。
パンスライダーがない
VCAチャンネルにはパンスライダーがありません。
チャンネルアサインがない
VCAチャンネルにはチャネルアサインインジケータがありません。
レベルメーターがない
VCAチャンネルにはレベルメーターがありません。
※Mackie MasterFaderアプリによるチャンネルアサインとルーティング画面
ここでご紹介するビデオはiPadと共に使用可能なデジタルミキサーMackie DLシリーズミキサーを使ってサブグループとVCAグループの使い方をご紹介しております。
Mackie DL32RやAXISデジタルミキシングシステムでは6系統、DL1608、DL806では4系統のVCAグループを組むことができます。ライブミックスのみならず設備用途でも使用可能な機能です。またMackie iPad用アプリ Master FaderアプリはVCAグループがどのように機能するのか、どのようにVCAグループを組むことができるのかお試しいただくことができます。無料でダウンロードいただけますので是非お試しください。