いまさら聞けないシリーズその15 PAシステムの設置方法

2017年11月30日

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PAサウンドシステムを設置する場合、ミュージシャンや観客、その他多くの方々に配慮しなければなりません。ライブハウス、劇場、学校、公民館、宴会場等ありとあらゆる会場で適切にPAシステムを設置することによりすばらしい公演をサポートすることができます。

setting up a pa article 2(1)例えばメインのスピーカーシステムを1ペアのパワードメインスピーカー、1ペアのパワードサブウーファーで設置し、2本のフロアモニタースピーカー、ミキサー、および数本のマイクで構成されたPAシステムだと仮定します。もしバックトラックをミュージックプレーヤーから再生し、ギターで弾き語りをするソロシンガーソングライターだとした場合、例えばMackie パワードスピーカーSRM550に内蔵されたモノラル2ch+ステレオRCA入力機能を装備したミキサー機能で充分事足ります。大規模なPAシステムは必要ないかもしれませんね。マイク、ギター、ミュージックプレーヤーをSRM550に直接接続するだけでPAシステムを構築することができます。

一般的に良いPAシステムとは会場内全員に均等に音声を届けることです。無指向性のサブウーファーサウンドは観客の体で感じることができますが、サウンドの大半を占めるボーカルや楽器など中高域帯に関しては観客の耳に的確に届ける必要があります。簡単な方法としてはメインスピーカーを高い位置に設置することです。中小規模のPAシステムでは一般的には観客の耳の高さから60cm~120cm高い場所に中高域を再生するスピーカーユニットがあることが理想とされてます。これはスピーカースタンドを使用したり、サブウーファーの上にポールマウントでメインスピーカーを設置することで可能です。これらができない場合はサブウーファーの上にメインスピーカーを設置することで可能になるでしょう。この場合、サブウーファーの振動でメインスピーカーが動かないようベルトなどで固定する必要があります。工事現場や運送会社で使われている耐久性に優れたラッシングベルトを設置するスピーカーに合わせて用意すると良いでしょう。

ステージ上にモニタースピーカーを設置する場合はミュージシャンの要望と、ミキサーのモニター送りの機能(AUX SEND)によって本数等検討する必要があります。また最近主流になっているのはインイヤーモニターを使用しステージ上にモニタースピーカーを設置しないケースが増えてきてます。

setting up a pa article 1ミキサー設置場所には多くのXLRケーブルが集結します。アナログ配線のエフェクトラックやミキサーに内蔵エフェクターなど様々な機器がミキサー設置場所には配置されます。Mackie DLシリーズミキサーのようにWi-Fi無線操作機能を装備したデジタルミキサーも人気が高いです。ミキサーがアナログであろうとデジタルであろうと、入出力の考え方は一緒です。メインミキサーでミュージシャンのモニター送りもコントロールするとしましょう。アナログミキサーの場合、ミキサーに実装されたプリフェーダーでミキシング可能なAUXセンドを使用し、ステージ上のモニターミックスをします。このアナログミキサーのAUXは限られた機能ですので演目によってはモニター送りの数が足りない場合が出てくることもあります。デジタルミキサーの場合、設定でプリ/ポスト送りが変更できるので、ケースバイケースでモニターの数を増やすこともできます。

マイクケーブルは通常、ミキサーの背面にある「MIC IN」と記載されたコネクターに接続します。一般的にはXLR入力はマイク入力に対応し、フォーン入力はラインレベルにのみ対応しマイク入力には対応しません。「MAIN OUT」と記載されたコネクターは、メインスピーカー、もしくはメインスピーカーに接続されたサブウーファーに接続してください。モニタースピーカーは「AUXセンド」もしくは「MONITOR OUT」から接続してください。Mackieのミキサーの場合、多くの機種でAUXセンドはバランス出力対応のフォーン端子ですのでTRS-XLRケーブルを使ってモニタースピーカーに接続してください。詳しくはお使いのミキサー(できればMackieを使ってほしいですが・・・)のオーナーズマニュアルを参照ください。Mackie日本語オーナーズマニュアルはアメリカンジョークをふんだんに取り入れ読み物としても楽しめます。無料ダウンロードが可能ですのでぜひご一読ください。

すべてのケーブルを接続し、音が出せるようになったら、まずはスマートフォンやミュージックプレーヤーなどをラインレベル入力可能なミキサーのチャンネルに接続し、マイクチェックをする前に左右に設置したメインスピーカーシステムから正常に音が出ることを確認して下さい。ミキサーに入力した音源を入力規定値に設定し、出力も規定値に設定した後、会場内に再生される音量と、会場のすみからすみまで歩き回って、ちゃんとどこで聞いても音がちゃんと聞こえるかどうかチェックしてください。その際にメインスピーカーの基本的な音作りも行ってくださいね。Mackie SRMシリーズNew Thumpシリーズであれば、演目に応じて、ボタンひとつで最適な設定が可能なスピーカーモードを装備していますので、誰でも簡単に最適なサウンドが設定できます。会場内に適切に音声が届くことを確認したのち、サウンドチェック用のマイクのレベルをあげてください。ステージ上でマイクで話してもらい、設置したモニタースピーカーにAUXセンドからマイクで話している音声信号を送ってください。ステージ上を歩き回ってもらい、ハウリングが起きないかどうか確認してくださいね。もしハウリングが起きてしまった場合は、ミキサーに接続したグラフィックイコライザーやパラメトリックイコライザー、もしくはデジタルミキサーに内蔵のグラフィックイコライザーやパラメトリックイコライザーなどでハウリングしている周波数帯域をカットしてください。ハウリングはどの演目でも起こしてはいけない現象です。しっかりと対策してくださいね。メイン・モニター両スピーカーから適切なサウンドが再生されることを確認したら、今度はミキサーに接続したすべてのマイク、楽器の信号がちゃんとスピーカーから再生されることを確認してください。すべての音源が再生されることを確認したらいよいよミュージシャンを向かい入れ、リハーサルの開始です。最適なミキシングができるよう心がけてくださいね。

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