HammerFallはヘヴィメタル好きにとってはもはや説明するまでも無いでしょう。HammerFallはスウェーデン・ヨーテボリ出身。1980年代に栄えたヘヴィメタルブームが廃れ、殺伐とした印象が拭えなかった1990年代半ばにデビューをし音楽業界に衝撃を与えたバンドです。ギターリストでバックボーカルとプログラミングを手がけるポンタス・ノルグレンが2008年に加入。ポンタス・ノルグレンはシン・リジィやヨーロッパ、イングヴェイ・マルムスティーンのフロントエンジニアとしても活躍していました。
これらの経験からHammerFallがバンドとしてインイヤーモニターシステムを導入するにあたり、機材選定、機器構成をポンタス・ノルグレンが考えました。数多くの候補からMackie ラックマウント型デジタルミキサーDL32Rを中心に機器構成することを決めました。「DL32Rはさまざまな面でわれわれのインイヤーモニターシステムに最適なミキサーです。」「われわれのモニターシステムはDante対応のKLANG社製、fabrik 3Dパーソナルモニターミキシングシステムを使用しています。われわれのモニターシステムを構築する上でDante対応のデジタルミキサーが必要だったのです。Mackie DL32Rにはわれわれの求めているすべての機能が装備されていました。」とポンタス・ノルグレンは語ります。
スウェーデンのMackie DL32Rユーザーに話を聞いたところ「是非、うちの店に設置されているDL32Rを試しに使ってみてください」といわれたそうです。「早速FOHとモニター用に設置されたDL32Rを試しにスウェーデンのライブハウス行き、機能を試したころ、われわれの要望にかなう機能がすべて搭載されていたんですよ。」とポンタス・ノルグレンは語りました。
HammerFallのモニターシステムは、4Uのショックマウントラックに、コンパクトに収納されています。重量も配線ケーブルを含めても26kgと軽量で飛行機の手荷物として預けることも可能です。「全世界中をツアーで巡るわれわれにとって、楽器同様飛行機で簡単に運べ、最高のステージにするためにはどのステージでも同じモニター環境が必要でした。プリセットを一度組んでしまえば、どこでも同じモニター環境が瞬時に構築できるDL32Rはわれわれにとって必要な機材なのです。」とポンタス・ノルグレンは語ります。
彼らのラックの内部にはバンドのドラムマイク、ボーカルマイク、ギターとベースのダイレクトBOXが8chの分配器に接続されています。1系統はFOHへ、もう1系統が32×32 Dante拡張カードを実装したDL32Rに接続、DL32RのDanteからKLANG社製、fabrik 3Dパーソナルモニターミキシングシステムに接続し、インイヤー送信機より各モニターに音を供給しております。
KLANG社製、fabrik 3DパーソナルモニターミキシングシステムにWi-Fiルーターを接続し、iPadから3Dイメージをコントロールすることが可能です。同様にMackie DL32RもMaster Fader™アプリを使用して複数台のiPadから制御することができます。それぞれのメンバーは自分のモニターをミックスするために個々にiPadを持ってステージに上がってます。KLANG社のアプリケーションでモニターのミックスレベルと3D処理をコントロールし、DL32RのEQ、コンプ、エフェクトをMaster Fader™アプリでコントロールしますが、必要に応じてMaster Fader™アプリでレベルもコントロールします。
「Master Faderはバンドがモニターミックスを作るのに最適なデジタルミキサーです。」「われわれのボーカル、ヨアキム・カンスは自身でリバーブとディレイを調整し、演目によってはコンプレッサーも自身で微調整します。ギターリストのオスカー・ドロニャックは自身のギターのサウンドが気に入らなかったので私がEQをいじってあげました。」とポンタス・ノルグレン。「もちろん私はオスカー・ドロニャックのプリセットを保存してたのですぐにもとの状態に戻せることを知っていたから極端にEQをいじったのですよ。EQを私がいじったことにより彼のモニターは断然よくなりました。もちろん今はオスカー・ドロニャック自身が自分の最適なモニター音作りをMackie DL32Rでできることに喜びを感じています。」「今はバンドメンバー全員が音の流れを理解し、自分自身で最適なモニター環境を作り上げています。またDL32Rに内蔵されているリアルタイムアナライザーとスペクトログラフはモニターの状況が視覚的に理解することができ、最適なモニターサウンドを作り上げるのに役立っています。」とポンタス・ノルグレンは語りました。
「Master FaderはHammerFallのステージモニターを最適に構築することができるすばらしいシステムです。最近のツアーではメインギターのテクニカルスタッフはステージの左袖にiPadを持って待機しています。ステージの反対側の袖には別のギターのテクニカルスタッフとドラムのテクニカルスタッフがそれぞれiPadを持って待機しています。リハーサル中にはわれわれ自身がモニターミックスを調整するのですが、本番が開始された後はそれぞれのスタッフがもし万が一何かあった場合、iPadを持ったスタッフ誰でも瞬時に対応することができます。」とポンタス・ノルグレン。
「まだまだDL32Rにはすばらしい機能を装備してます。われわれのシステムはDL32RのDanteからKLANG社製、fabrik 3Dパーソナルモニターミキシングシステムに接続しているのでL/Rメイン出力以外の出力が残っており、サイドフィル用に残った出力を割り当てています。大きなステージやさらなる出力が必要な時にモニターを追加したいときにも役立ちます。またゲストミュージシャンがあるステージでも、ゲストミュージシャンにモニターを追加してあげることもできます。もちろんゲストミュージシャンの楽器やマイクもDL32Rの豊富な入力が対応することができます。」とポンタス・ノルグレンは語りました。
「もちろんDL32Rの音質と動作の信頼性も気に入っています。DL32R内蔵のエフェクト、コンプ、ゲートは最高の役目を果たしてくれます。アウトボードは不要です。もうDL32Rがないステージなんて考えられないよ。」とポンタス・ノルグレンは最高の評価をしております。
2017年はアメリカ、カナダ、ドイツ、スペイン、ポルトガルとツアーを行うHammerFall、残念ながら日本ツアーの予定は今のところございませんが、日本大好きの彼らが来日公演を行う際にはステージ上で活躍するMackie DL32Rを見ることができることでしょう。